前回の小児矯正の投稿にも記載した歯並びと口腔内の健康についてです。
そもそも歯並びって治した方がいいのか？見た目が気にならないなら放っておいてもいい？
という疑問がある方は多いと思われます。
今回は私見も踏まえてそれについて記載します。

①8020達成者での判断
上顎前突　過蓋咬合　は少人数だけ達成
開咬　反対咬合　は0人
と言われています。
「Dental Prescaleを用いた8020達成者の咬合調査」竹内史江、宮﨑晴代他　歯科学報　105(2)154-162,2005年

②咬合力と虫歯
咬合力が強く歯に伝わると、その歯に微細なヒビ（マイクロクラック）が入ります。
そのクラック（多くは隣接面）から虫歯菌が入り虫歯になることがあります。
また過去に処置された歯に対して詰め物と歯に隙間を作り2次虫歯になったりすることもあります。
またその力が根管治療済みの歯に過度に加わると破折してしまい、最悪のケースで抜歯になることもあります。
患者さんから「よく同じところばかり悪くなって歯医者に行く」「何度も同じような処置を受ける」と言われることがありますが、原因はその歯やその部分に対しての力の加わり方が強いことにあります。
おそらくこれが①の原因の１つにもなっていると思われます。
歯並びが悪いと均一に咬合力が歯に伝わることがなく、どうしても特定の歯に必要以上な力が加わりやすくなります。よって歯並びが悪いと虫歯リスクが高くなったり、不要な処置のやり直しや、抜歯リスクが高くなってしまいます。

③顎関節症
これは正直判断に迷うところです。
顎関節症になるような骨や関節の形態、体癖、生活習慣があるからその歯並びになったのか
歯並びが悪くて顎関節症になったのか
これは得てして答えにくいものがあります。。。
ただ、矯正をすると顎関節症が良くなる！
なんてことは言えないので気をつけて下さい。
私見では前者が多いような気がしますが。

これらを考えるとやはり歯並びが悪いことは良くなく、治すべき事象なのかな、と思います。
ただ、中にはその悪い歯並びだからこそ顎関節や体癖に順応し、ご高齢になっても自分の歯で満足のいく生活を送られている方もおられます。
なので盲信的に矯正治療をすべきかと言われれば、その必要は無いかと思いますがリスクヘッジとしては選択肢の１つに入れておくべきでは無いかと思います。