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COLUMN〜コラム〜

歯を抜いた後はインプラント?入れ歯?ブリッジ?

注:今回は少し難しいお話です。
私見満載です。

前のコラムでは歯を抜いた後は放っておかない方がいいですよ。という話をいたしました。
今回は実際にどの治療がいいかの説明です。

そもそも歯を抜いた後の処置は何があるかというと
①自分の歯を使う
②インプラント
③入れ歯
④ブリッジ
⑤何もしない

この5つに大別できます。

先に結論から言いますと私の個人的なおすすめはこの①〜⑤の順番になります。
かつ、ただ抜けた穴埋めをするだけならどれでもいいと思います。
大事なことはその後の人生で口腔内を健康に保ち続けることなので、そこまでをきちんと考えると上記の順になるかと考えております。

①自分の歯を使う
これはいわゆる自家歯牙移植とは違います。
歯が抜ける原因は歯周病や虫歯からの歯の崩壊、外傷など色々あります。
歯周病による抜歯はまた様相が変わるので、今回はあくまでも虫歯や補綴歯の破折、外傷などによる小数歯欠損のみ対象です。
虫歯や破折歯が起きる原因として歯並びが原因となっているケースは多くみられます。
特に昨今は小学生や幼稚園児の検診でも過去に比べ虫歯の数がどんどん減ってきているのは、口腔ケアが家庭内でもきちんと行えている家庭が増えているからで、そうすると20代以降の虫歯の原因としてその他の要因である歯列不正が考えられます。
我々日本人は骨格的にも歯が綺麗に並びにくく、歯が叢生(ガタガタ)になりやすいのと上顎前突(出っ歯)になりやすい傾向にあります。
それが特定の歯の欠損に繋がりやすいことから、矯正治療を勧めるケースがあるのですが、叢生や前突の改善はスペースメイキングが必要なことから抜歯を選択するケースも多いです。
つまり自分の歯を欠損に使うことは虫歯や破折、外傷で抜歯したケースをこれに応用して矯正をして隙間を埋めてしまおう、という話です。
もちろん見た目や歯の種類から難しいケースも多々あるのでそこは主治医と患者さんとの話し合いによります。
1番のメリットは口腔内に人工物を入れずに済む、というところです。
後述しますがインプラントやブリッジの考えないといけないところは医療の発達と共に寿命が長くなり要介護者が増えている日本の現状で、メンテナンスが難しくこれらの補綴物が歯周病の要因になってしまうところです。
除去するにも治療行為が難しい高齢者の方の場合は見て見ぬふりになっている方も多く見受けられます。自分の歯の場合はまだメンテナンスが行き届きやすいため誤嚥性肺炎などの併発リスクは下げられると考えております。

②インプラント
インプラントとは顎の骨にチタンなどの金属を歯の代わりに埋め直す治療方法です。
おおよその予後は10年で96~95%と言われております。
A systematic review of the survival and complication rates of implant-supported fixed dental prostheses (FDPs) Pjetursson et al. 2012, Clin Oral Implants Res
A systematic review of survival of single implants as presented in longitudinal studies with a follow-up of at least 10 years Hjalmarsson et al. 2016, Clin Implant Dent Relat Res
前述してるように歯というのは歯並びが大事です。要は歯の位置や傾きが大事なので、それをある程度再現性よく行えることや
咬合力を他の歯に頼らずに独立して負担できるという点でインプラントは元の歯の代わりとして優秀かと思われます。

ただ外科的侵襲がある治療行為ですので、年齢や全身的既往歴などを考慮しないといけません。またインプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病菌の棲家にはなりますのでメンテナンスにきちんと通えるか、などは考えないといけませんね。
将来的には要介護になった時にはスリープと言って歯茎の中に隠してしまい入れ歯などに変えていく必要があるケースもあることは覚えておいた方がいいかと思います。

③入れ歯
これは着け外しのできる装置です。目で言うところのコンタクトレンズのようなものです。
抜けた箇所の近所の歯と歯茎で支えるイメージです。
特に大きく歯を削る事がなく侵襲性も低いことや外して掃除がしやすいことが大きなメリットになります。

ただ着けるのを面倒臭がったり忘れたりすると、たまに着けるときに周りの歯が微細に動いてしまっており、きちんとハマらなくなったまま使ってしまうので歯にダメージを及ぼしたり噛み合わせが悪くなり顎が痛くなる、入れ歯が割れるなどの事故が起きるので要注意です。
また入れ歯は経年的に削れていったり、歯茎に沈み込み噛み合わせが当初と変わる場面が往々にして起こります。
なかなか目で見て分かる範囲ではないのでメンテナンスにきちんと通い修理や再製を行う必要があります。車や電化製品と同じく大切な道具として扱ってあげることが大事になります。
また要介護になったときは清潔を保ちやすいので、大きなメリットになります。
インプラントと比較すると咬合力を負担しにくい、またそもそも咬合力を発揮しにくい点があり、咀嚼能率が下がるとも言われております。
咀嚼力や咀嚼能率は脳機能にも関係しておりますので、その辺りはインプラントと比較すると弱い部分となるかと思います。

④ブリッジ
これは隣の歯を削り被せ物をつないでいく手法です。
これはおおよその予後が10年後で85%と言われております。
A systematic review of the survival and complication rates of implant-supported fixed dental prostheses (FDPs) after a mean observation period of at least 5 years 2012 Oct:23 Bjarni E Pjetursson , Daniel Thoma, Ronald Jung, Marcel Zwahlen, Anja Zembic
咬合力の負担能力や咬合力の発揮などは入れ歯に勝る点がありますが、あまりお勧めは致しません。実際に文献上はややインプラントに予後で劣るレベルかと思いますが、実臨床上においてレントゲンなどを見ているとそもそも歯とのフィットが良くなく2次虫歯になっていたり、歯の傾きが考慮しきれておらず歯周病になったり破折したりとトラブルが多く見られます。
これは治療手技として非常に難しく、正直に言うと保険診療レベルでさっさと銀歯で治すと言った行為ではどうしてもこういったアラが出てくのです。
インプラントが年齢や全身的既往歴で行う事ができず、そしてどうしても入れ歯が嫌な場合は、歯の傾きなどを整え、プロビジョナルクラウンPVC(仮歯)で噛み合わせを煮詰めて行うことをお勧めいたします。もし保険診療が希望の場合は入れ歯をお勧めいたします。

⑤何もしない
これは前回述べたように基本はお勧めいたしません。

上記のように患者さんの年齢を含めたパーソナリティにより若干優先度が変わってきますが、歯が抜けた場合はこのように何をするべきかを考えていくべきかとおもっております。
色々画像等があればもっとわかりやすいかとは思いますが、なにぶん手作業なもので。。。
今後改善していければと思っています!





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